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完全自動運転の今(8)損保ジャパン 遠隔操作で自動運転サポート 変わる自動車保険業界のビジネスモデル 事故の際の責任の所在は?

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2018年9月27日、損保ジャパン日本興亜は、自動運転車(レベル4相当)の事故トラブルを想定した操舵介入とオペレーターによる対応の実証実験を行った。また、遠隔型自動運転運行サポート施設の開所も発表。自動車保険業界が、自動運転を見据えた将来の保険のありかたについての動きをみせている。自動車事故後の処理をめぐる問題が中心であった保険業界が、自動運転時代に応じたビジネスモデルへと変化する過程だ。

 

実証実験(レベル4自動運転車を、オペレーターが支援、遠隔運転手による遠隔操作)

「自動運転社会において損害保険会社が果たすべき役割の研究を加速させること」を目的として、遠隔型自動運転運行サポート施設「コネクテッドサポートセンター」を損害保険ジャパン日本興亜株式会社とプライムアシスタンス株式会社が開所し、他、実証参画企業と協力し自動運転車(レベル4相当)の事故トラブルを想定した操舵介入とオペレーターによる対応の実証実験を行った。

完全自動運転レベル4のため、運転手がいない(無人)の状態で走行している。それが、急停止する。前方に障害物(事故をおこした自動車が停止している。)があるとの想定。

オペレーター:「前方車両で事故が発生いたしましたので、安全確認のため停車しております。また、危険回避のため遠隔運転手が介入し運転いたしますので、しばらくお待ちください。」

オペレーターは、客への対応と同時に、遠隔運転手とともに、トラブルに対応。

遠隔運転手:「遠隔操縦者です。危険回避のため操舵(そうだ)介入します。」

遠隔運転手は、「コネクテッドサポートセンター」のモニタ画面から、手元のハンドルを操作すると、停車中であった自動運転車(レベル4)が動き出し、障害物をよけて走行した。スピードやブレーキは、遠隔運転手側のペダルで操作。(logicool製)  三角ボタンを押すと、ハザードランプがつく。 車の運転に関するすべての操作を遠隔でできる。

万一、遠隔運転手介入でも無理なケース、自動運転車が動けない場合でも、
オペレーター:「早急に、代わりの車を手配いたします。」

と、実践を想定して、実証事件が行われた。

 

2020年を目標に、無人運転車をオペレータと遠隔操作できる仕組みを作る予定

損害保険ジャパン日本興亜では、今回のオペレータと遠隔運転手による自動運転車へのサポートの体制を、2020年を目標に作り上げる予定。この体制づくりのスピードも、自動運転車の開発競争と並行して進んでいくであろう。まさに、車の両輪となって、「自動運転研究開発」と「自動車保険業界の体制」が進んでいくことが望まれる。一般の車(運転手が操舵)と自動運転車が、混在する時代が訪れれば、このような人間が介在するサポート体制は、必須である。

自動運転が広まれば自動車事故の確率は下がり、自動車保険会社の役割も、自動運転時代に応じたビジネスモデルへと変化するだろう。(事故の後処理中心の自動車保険のビジネスモデルから、次の時代への変化だ。)

 

「コネクテッドサポートセンター」損保ジャパン日本興亜

「コネクテッドサポートセンター」は、無人の自動運転車の遠隔監視・操舵介入と、事故トラブル対応等の総合サポートの研究を目的とした施設です。自動運転トラブルに対応する研究拠点の開設という位置づけで、まだ、研究段階です。この「研究を目的とした」という一文が、なくなる実用化の時代になるといいですね。

以下を想定

・複数台の自動運転車の走行状況をモニター監視、危険時等における遠隔操作による操舵介入
・レッカー手配などのロードサービス手配、現場駆けつけなど現地対応のサポート提供
・警察や消防などへの緊急通報支援
・事故トラブル時の車両停止時における代替移動手段の手配

損保ジャパン日本興亜:
自動運転車の事故トラブル対応サービス研究拠点 「コネクテッドサポートセンター」の開設と自動運転車による実証実験の実施

 

自動運転車が、事故の際の責任の所在は?

官民 ITS 構想・ロードマップ 2018によると、

<責任関係>(自動車損害賠償保障法、民法、製造物責任法、自動車運転死傷処罰法等)
万が一の事故の際にも迅速な被害者救済を実現するとともに、自動運転が社会に受け入れられるために、事故時の責任関係の明確化及び事故原因の究明に取り組む。そのためのデータ取得・保存・活用についても検討する。

  1. 自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)において、自動運転システム利用中の事故により生じた損害についても、従来の運行供用者責任を維持する。
  2. 自賠法において、自動車の保有者等が必要なセキュリティ対策を講じていない場合等を除き、ハッキングにより引き起こされた事故の損害(自動車の保有者が運行供用者責任を負わない場合)は、盗難車による事故と同様に政府保障事業で対応することが妥当である。
  3. 自動運転車を市場化する際には、交通ルール、運送事業に関する法制度等により、様々な関係主体に期待される役割や義務を明確化していくこと等を踏まえて刑事責任についての検討を行う。
  4. 2020 年を目途に、データ記録装置の設置義務化、データの記録機能、情報保有者の事故時の記録提出の義務化の要否を検討する。

つまり、現在の法律(自動車損害賠償保障法)においては、自動運転システム利用中の事故も、従来通りの運転車が責任をとると読める。また、ハッキングの場合には(セキュリティーの対策を講じていれば)、盗難車による事故と同様に扱われて、政府保証事業で対応することが妥当。

 

「責任関係については、被害者救済など社会受容性を前提としつつ、保険制度も含め製造事業者やシステム運用者のイノベーションが促進されるような制度設計」と書いてあるが、これだと、イノベーションが起きるのだろうか? 現状の過渡期では、従来通り、運転手が責任をとるという立場を前提として、少しずつ、自動車メーカーなどのシステム側の責任を大きくして(認めていく)という段階的なもののようである。

また、以下のようにも書かれている。(長ったらしいが、要するに現時点で確立したものはない。ということだ。)

この高度自動運転の実走行を可能とするためには、「ドライバーによる運転」を前提としたこれまでの交通関連法規について、「システムによる運転」を可能とする制度を組み込むべく 、全面的な見直しが必要となる。その見直しの検討の範囲は、自動運転車両・システムの特定と安全基準の在り方、交通ルール等の在り方、自賠責保険を含む責任関係の明確化など多岐にわたるとともに、それらは相互に関連することが考えられることから、高度自動運転の実現のための制度整備に係る政府全体としての方針を明確化する必要がある。このため、関係省庁の密接な協力のもと、高度自動運転実現に向けた政府全体の制度整備に係る方針(「自動運転に係る制度整備大綱」)を策定し、IT 戦略推進本部(平成 30 年 4 月 17 日)で決定した。(全文は別紙の通り。)
その際、これらに向けた制度整備については、世界的な関心事項であるものの、海外においても試行錯誤中であり、また、現時点では道路交通に関する条約と自動運転との整合性等に関する国際的議論が継続中であること、また、特に、高度自動運転に係る技術は、現時点で確立したものはなく、今後様々な技術が出てくることが想定される中で、国際的な技術基準策定には時間を要すること等について考慮しつつ、法制度の項目に関して、当面は半年に 1 回、フォローアップ会合を開催し、制度見直しの検討を継続的に進めることが必要であるとした。

自動運転に係る制度整備大綱(平成 30 年 4 月 17 日)

 

諸外国では? 自動運転車の事故の扱いは? 責任は?

官民 ITS 構想・ロードマップ 2018によると、補足58(P.48)

具体的には、例えば、以下のとおり、各国の事情を踏まえた検討の動きがある。
・ 米国カリフォルニア州:自地域の IT 企業等の動向を踏まえ、2018 年 4 月から、公道における無人自動運転車の試験走行の申請受付を開始した。サイバーセキュリティ対策や外部との双方向通信機能等を許可取得に必要な要件として定めている。

・ ドイツ:2017 年 5 月、「道路交通法(StVG)」(運転者の義務のみならず、賠償責任、車両登録等についても規定している法律)の改正案を可決し、同 6 月から施行。当面の措置として、運転者の乗車を前提とした「高度・完全自動運転」(レベル 3 相当)の実用化を認めるもの。

・ 英国:2017 年 10 月、「自動運転と電気自動車に関する法案」が下院議会に提出された。自動運転中の事故についても保険会社が支払責任を負うことや、免責される場合などについて規定。現在、上院審議中。

 

ということで、日本政府も、各国の動きを横目で見ながら、走ってるという段階です。

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