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はやぶさ2 小惑星(リュウグウ)の砂から、アミノ酸(有機物)生命誕生の秘密に迫る

投稿日:2022年6月11日 更新日:

2020年12月6日に、はやぶさ2から分離されたカプセル(リュウグウのサンプル)が地球帰還。その回収したサンプルの分析が進められていた。はやぶさ2が持って帰ったサンプルは、5.4グラム。これは、少ないなどと言ってはいけない。物凄い量なのだ。なんと、目標は、0.1gだった。その50倍以上の実績。上の写真は、サンプル採取のときの様子だ。(りゅうぐう内部の岩石採取成功時の様子)

 

分析には、これほどの時間がかかるものかと思うが、1年半もの時間をかけ、分析結果が発表された。これでも一部の結果であり、まとめの段階にあるようだ。分析には、JAXA(宇宙航空研究開発機構)などの国内の8つの研究チーム関わった。

生命に関係が深い有機物であるアミノ酸が20種類以上検出され、生命の誕生に必要な材料がどのように供給されたか考えるうえで重要な成果が出た。我々人類の体にあるタンパク質は、アミノ酸からできている。

アミノ酸は、初期の地球にもあったと考えられているものの、地球全体が高温になっていったんは失われたあと、隕石などによって宇宙から再びもたらされたとする学説があり、生命の誕生に必要な材料がどのように供給されたか考えるうえで重要な成果になる。

今までのはやぶさ2の活躍については、JAXA小惑星(リュウグウ)探査機「はやぶさ2」 目的、スケジュール、現在地など 今の状況を解説 

地球に生命が誕生した時、材料となる有機物はどこから来たか?


回収時のカプセル  (C)JAXA

地球に生命が誕生した時に、材料となった有機物がどこからきたものなのかという課題は、大きく2つの仮説があり、どのように生命が誕生したのか考えるうえで重要なテーマになっています。

仮説1:地球の太古の大気中でアミノ酸が作られた

誕生した直後の地球は非常に高温になっていて、アミノ酸や有機物は存在できなかったと考えられていて、その後、徐々に冷えて化学反応が起き、アミノ酸が生成されたというもの

 

仮説2:アミノ酸を多く含む小惑星などが隕石となって地球に生命の材料をもたらした

地球に落下した隕石を詳しく分析すると、アミノ酸が検出されるケースが多数、報告されるようになり、この仮説を補強

 

小惑星「リュウグウ」のサンプルでアミノ酸が20種類以上検出されたことについて、生命の起源と宇宙との関係を専門にしている横浜国立大学の小林憲正名誉教授は「画期的な成果だ。こうしたアミノ酸が地球の生命の誕生につながったかもしれない。アミノ酸は宇宙では特殊なものではなくかなり普遍的に存在することを示す成果だといえる」と指摘

今回の発表では、仮設2を裏付ける、有力な証拠になっているという話だが、素人的には、仮設1と2の組み合わせというのはないのか?と思ってしまった。

 

小惑星探査機「はやぶさ2」Phase-2キュレーション成果論文の
日本学士院紀要掲載について

小惑星探査機「はやぶさ2」Phase-2キュレーション成果論文の 日本学士院紀要掲載について

研究成果の概要

 日本の小惑星探査機「はやぶさ2」の探査対象であった小惑星リュウグウから回収された16粒子を用いて、詳細な地球化学総合解析を行いました。その結果、小惑星物質試料が太陽系形成前から現在に至る複雑な物理化学過程の証拠を保持していることがわかり、生命の起源を含む太陽系物質進化の新しい描像を導くに至りました。

研究のポイント

  1. 有機物を多く含むと考えられていたC型小惑星リュウグウのサンプルリターンを実施し、回収された試料の地球化学総合解析を、世界に先駆けて実施した。
  2. 試料は地球上の汚染を最も受けていない小惑星物質である。小惑星リュウグウの二地点から回収されたこれらの試料に対して、地質学的観点を踏まえた分析をおこなった。
  3. 試料は主に含水層状ケイ酸塩鉱物から構成され、空隙率は約50%である。
  4. 小惑星リュウグウの化学組成はCIコンドライトと類似している。またリュウグウ最表面からだけでなく、人工クレーター形成に伴って噴出した内部物質を採取出来ていたことが確認された。
  5. 採取に用いたタンタル製弾丸による汚染が一部試料において確認されたが、人工クレーターを作成するために用いた銅製衝突体(SCI:搭載型小型衝突装置)に起因する汚染は認められなかった。
  6. 水素、炭素および窒素同位体異常を示す星間雲を起源とするミクロンサイズの有機物質が検出された。
  7. 生命の起源に結びつくアミノ酸やその他の有機物が検出された
  8. 原始太陽系を構成した星間物質や太陽系前駆物質を含む始原的な特徴が保持されていた。
  9. 小惑星リュウグウの前駆天体は、太陽系外縁部において有機物およびケイ酸塩を含む氷に富むダストが集積した氷天体である(氷前駆天体)。
  10. 氷前駆天体の大きさは数十キロメートルであり、太陽系形成後約260万年までの期間に水質変質を被った。
  11. 氷前駆天体は破砕され、大きさ数キロメートル程度の彗星核が形成された。その後これは地球近傍軌道に移動した。彗星核から氷が昇華し、天体サイズの縮小および固体―ガスジェットに伴う物質の再堆積によって、空隙の多い低密度物質が形成された。
  12. 有機物は試料に普遍的に存在し、これらは宇宙線および太陽風の照射による宇宙風化を被り、小惑星表面のアルベド特性を決定している。

 

出典:

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

小惑星探査機「はやぶさ2」Phase-2キュレーション成果論文の 日本学士院紀要掲載について

NHK

小惑星「リュウグウ」砂などから “生命に関係深い”アミノ酸

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